チャージポンプIC

外付けのコンデンサ3個だけで、電池の電圧(DC 2.1〜5.5V)を3.3V系または5V系マイコンの電源電圧へ昇圧、安定化してくれるチャージポンプICがある。Microchip社のMCP1253、MCP1252がそれだ。最大供給電流120mA、消費電流80μAである。同クラスのICは他社にもあるが、外付けのコイルが必要ない点、出力電圧選択の自由度がある点、価格が比較的安い点などから使いやすそうだ。このICは8ピンのMSOPパッケージで、MCP1253とMCP1252の違いはスイッチング周波数である。MCP1253が1Mz、MCP1252が650kHz。IFバンドへの干渉を避けるならMCP1252、外付けコンデンサの容量を小さくしたいならMCP1253を選択する。また、出力電圧を抵抗による分圧で連続的に可変できるタイプ(MCP1252-ADJ、MCP1253-ADJ)もある。

固定出力タイプ(MCP1253-33X50)の場合、出力電圧の選択は8番ピンSELECTで行う。このピンをGNDに接続すれば5V、Vinに接続すれば3.3Vになる。2番ピンPGOODは出力正常信号で、未接続でかまわない。7番ピンSHDNは1.8Vロジックで、Loにするとシャットダウンモード(消費電流0.1μA)になるが、使わない場合はVinに接続しておけばよい。

重要なのは、5番、6番ピンに接続するフライング・コンデンサで、低ESR(等価直列抵抗)タイプが推奨されている。また、ノイズを発生させないために、Vin、Voutに接続するコンデンサも含めて、チップ型セラミックコンデンサを使用して、できるだけICの近くに配置するよう推奨されている。

このICチップはピン間のピッチが0.65mmと狭く、使うたびに手ハンダ付けをするのは大変なので、今回はDIP(2.5mmピッチ)に変換する基板に載せて使うことにした。一番重要な5番、6番ピンのフライング・コンデンサだけは、この変換基板上に装着し、残り2個のコンデンサは外付けにした。なお、コンデンサはすべてチップ型ではなくリード線が付いた積層セラミックコンデンサを使った。

変換基板は、秋月電子のTSOP8ーDIP変換基板を使った。手で折って使う。ピンヘッダは、通常のタイプ(0.64mmφ)では太くて入らないので、同社の細いタイプ(0.5mmφ)を使った。こちらも、必要なピン数だけ手で折って使う。

ICはMicrochip 直販サイトから10個を購入した。輸送費(FedEx)、手数料も含め全部で31.29USDだった。1USD/81円換算で2,539円、1個当たり254円の計算になる。

工作の手順は次のとおり。

  1. 固定と放熱を兼ねて、ハンダ付け用のアルミ製のクリップでICと基板をはさむ。
  2. ICのリード足にフラックスを塗布する。
  3. ブリッジを気にせずハンダを流し込む。
  4. ハンダ吸い取り線で余分なハンダを取り除く。
  5. ルーペで確認する。
  6. ピンヘッダをハンダ付けする。
  7. コンデンサをハンダ付けする。

最後に、出来上がった基板と外付けの2個のコンデンサ(10μF16V積層セラミック、リード線タイプ)をブレッドボードに装着し、定電圧電源で発生した2.1V~5.5Vの入力電圧に対して、3.3Vが出力されることで動作確認をした。

よく見ると、基板のパッドとICの足が微妙にずれている。(^^;)

2011年05月07日