Bluetoothドングルを使った無線通信実験(その3:到達距離の測定)

Bluetoothスイッチ基板を使って、Bluetoothドングルによる通信可能な距離を実際に測定してみた。使用したBluetoothドングルBT-MicroEDR1XはClass1、つまり電波出力100mW、到達距離 100mという仕様である。

PC側のBluetoothドングルは、USB延長ケーブルを介して三脚の雲台に取り付け、2階ベランダに設置した。

一方、基板に単3電池4本を接続し、受信信号強度(RSSI)とHIDプロトコルによる接続(LNK)、そして1秒間隔で繰り返し送出する警報スイッチのON/OFF信号(S1,S2)を確認しながら手に持って下の地図の点Hを出発し、点Rに向かって徒歩で移動した。

受信信号強度(RSSI)

LED表示○○○○○
RSSI値-10dB以上-10~-20dB-20~-30dB-30dB以下

点HがPC側のBluetoothドングルを設置した場所である。点Pは点Hから33mの地点で、RSSIのレベルがLED3つから2つに変わる境目、つまりこの付近が-10dBと思われる。同様に、点Qは92mで-20dB、点Rは190mで-30dBであった。点Rは、ちょうど接続が切れ、警報スイッチの信号が途切れる地点でもあった。

指向性を高くするようなてだて(導波器や反射器など)をしていないにもかかわらず、190mの到達距離が出たことには正直驚かされた。そこで、HCI層より下の層についてもすこしだけ調べてみた。

Bluetoothでは、CDMAなどと同様に、時間を625μ秒ごとにスロットとして区切り、2.4GHz帯の電波を1MHz 単位の79の周波数チャネルに分けている。利用する周波数をランダムに変える「周波数ホッピング」を繰り返しながら、偶数スロットでマスターとなった機械が通信先のスレーブ機器を指定して通信を行ない、次のスロットでスレーブとなった機器からデータが送られる、というように通信を行なっている。

一般に広く普及している仕様、Bluetooth 2.1+EDRでは、GFSK、π/4DQPSK、8DPSKという変調方式を切り替えることでデータ通信速度を向上させている。GFSKは、バージョン1.1/1.2でも使われており、約1Mbpsの基本通信レートである。π/4DQPSKで2Mbps、8DPSKで3Mbps。 アナログ変調でいえば、周波数変調と位相変調に相当する。例えば、8DPSKでは、搬送波を8種類の異なる位相ベクトルを切り替えることによって、量子化ビット数が3ビットの位相偏移変調を実現している。

参考:位相偏移変調

Bluetoothでは、Golden Receive Power Rangeと呼んでいる電波強度の範囲と、実際に受信した電波強度との差をRSSIと定めている。Golden Receive Power Rangeは、十分に受信できる範囲であり、この範囲内ではRSSI値は0となり、この範囲を超えた分の値がRSSI値となる。例えば、次の図のように-70dBmを受信したときRSSI値は-10dBである。ちなみに、Bluetoothの仕様によれば,−70dBmの信号を受信する際にビット誤り率(BER)が10−3(EDR仕様では10-4)よりも良いこととなっている.

BlutoothのLMP(Link Manager Protocol)層は、このRSSI値を観測して、RSSIが負の値、つまり受信した電波強度が不足したとき、相手の装置に対して送信する電波強度を高めるよう要求する。Bluetoothの装置は、送信機と受信機を備えているので、この仕組みによって相互に送信電波強度を調整しあう。(LMP_incr_power_req、LMP_decr_power_req)ちなみに、この仕組みは、Class 1では必須であり、Class 2、Class 3ではオプションである。

つぎのように、このRSSI値をもとに位置計測に応用しようとする試みがある。

Bluetooth による位置情報提供システムの開発とその評価

シャープ技報第87号・2003年12月 P.27山中 康正、橋浦 正樹、上村 進、佐藤 誠治

ただ、単純にRSSI値だけを使うと、RSS=0、つまり近くて電波強度が十分すぎる範囲は計測できない欠点がある。こんな報告もある。

無線を使った位置検出

沖テクニカルレビュー2005年10月/第204号Vol.72 No.4 P.24小野 昌之、福井 潔、柳原 健太郎、福永 茂、原 晋介、北山 研一

次は、IEEE 802.15.4 ZigBeeを使った場合の報告である。ZigBeeは、Bluetoothと同じ2.4GHz帯を使う(日本において、ZigBeeはISMとして開放されている2.4GHz帯だけだしか利用できないが、欧米では違う周波数帯も使用することができる)強力なライバル?ZigBeeのRSSIはどうなってるのだろう?興味は尽きない、、、

Indoor Local Positioning System For ZigBee, Based On RSSI

Shashank Tadakamadla, Mid Sweden University, 10.10.2006

2010年09月09日